2012/01/23

単独母音があっての母音の省略例

テニスで勝ち上がっている、「にしこり けい」 がニュースをにぎわしていますが、
  わたしは「にしきおり」だと思っていました。
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テニスの全豪オープン第8日は23日、メルボルンであり、男子シングルス4回戦で、第24シードの錦織にしこり)圭が世界ランキング6位のジョーウィルフリード・ツォンガ(仏)をフルセットで下し、ベスト8に進出した。 ...


wikiの彼のところを見てみると
「錦織の姓の読みは全国的には「にしきおり」が多いが、島根県では「にしこおり」またはそれを略した「にしこり」が多い。」
 と、説明がありました。
  「にしこおり」は母音「きお」を「こー」にしたもの「にしこり」は「きお」のぶぶんの母音「i」を落としたものですね。
 万葉集の字余りを考えているさいちゅうなので、やはり現在でも、句中の単独母音は縮約されるのだと気づかされました。

韓国語の漢字音が「사の」漢字

韓国語の漢字音で、日本語では「し」と読む漢字が
  かなりの数の漢字が「さ(사)」で読まれます。

A,たとえば
 思、四、司、死、詞、師、士、史、使、辞、など日本語で「し」と呼ばれる漢字が「さ(사)」で読まれます。

      すごく不思議です。

B, 日本語の「し・じ」と読む漢字が、「し(시)」あるいは「じ(지)」で読まれる場合もあります。
   之(지)、志(지)、指(지)、詩(시)、旨(지)、至(시)

C, 日本語で「さ」と読まれる漢字で、韓国語でもそのまま「さ(사)」と読まれる漢字もあります。
    査、沙、詐、紗などです。
       これは、「さ(사)」です。

どうしてこうなるのかすごく不思議だったのですが、

中世韓国語の漢字音までさかのぼってみると、その違いが分かりました。

同じ現代韓国で「さ(사)」と読む漢字でも、中世韓国語にさかのぼってみると
同じではなく、2つに分けられます。
 (1)一つは、今と同じ「さ(사)」だった漢字。
    実はこれが、日本語でも「さ」と読む漢字で上の Cのグループの漢字です。
     査、沙、詐、紗など。

 (2)もう一つは、ㅅとアレアの組み合わせだった漢字です。
      (アレアについては下のサイトを参考にしてください。)
   上のAのグループの漢字で、この漢字が日本語では「し」と読まれています。
    思、四、司、死、詞、師、士、史、使、辞 などですね。


日本語の万葉集の時代(7・8世紀)の万葉仮名にも          
   「し」を表す万葉仮名として、AとBの漢字が使われています。
                                      
    万葉の時代には、韓国語(或いは中国語でも)       
      「시 」 「ㅅとアレア」が同じ「し」と認識されていたのですね。
                                         
  韓国語の中世での「ㅅとアレア」の組み合わせの音が、
    古代にはどういう音だったのかすごく気になります。       
                                          
  * 万葉仮名で、Cの漢字は、「さ」です。




     アレア(下のアと言う意味で、点一つの形のハングルで、今は使われていません)
(アレアについてはこちらを参考にしてください。      
     http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/korean/middle/Jmiddle.html  )

2012/01/22

データ訂正

万葉集 3691番(長歌 35句分)がだぶって登録されていたので、
この35句を削除。これに従って、今までのデータの数値も変更となる。

長歌なので、短歌のみの部分は変更しなくても大丈夫だと思う。

日本語の古代語・万葉仮名などに関する議論のスレッド

万葉仮名や、日本語の古代のに関する議論のスレッドです。
結構レベルが高い。

http://unkar.org/r/gengo/1228873581

「万葉集の字余りと表記」 佐野宏氏の講演資料


万葉集の字余り関係の詳しいデータが紹介されている。
資料のデータを見てみると、
 万葉集のデータベースを作成している感がある。
  

http://nwudir.lib.nara-wu.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/338/1/26_06_02.pdf

2012/01/21

万葉集一字一音句の集計

本日、万葉集の一字一音句について、
 句中に単独母音を含む句について、集計しました。

データはこちらを参照してください。(全体)
 これを見ると、句中に単独母音を含まない句は、字余りは全くと言っていいくらい起していません。
 ただしここでの単独母音とは「あ・い・う・お」を指し、「え」は除外されます。
https://sites.google.com/site/kuwahao/home/manyosyu/manyoujiamari1/manyou1ji1oiku1

母音を含む句についてはこちら。
https://sites.google.com/site/kuwahao/home/manyosyu/manyoujiamari1/manyou1ji1oiku1/itijiitionboinari1
  母音を含む句が字余りになるかならないかの法則性がすごく難しい。
  果たして法則性はあるのだろうか?

基本データはだいたい出てきたので、後は間違いの修正と、法則性の見いだしの作業。

2012/01/20

万葉集の字余りの法則

佐藤栄作氏の論文
「万葉集の字余りと半母音」から、孫引きさせて頂きます。


第1則 句中に単独の母音音節(エを除く)を含むとき
第2則 句頭に母音音節があるとき
(1)「イ」の次がj又はiの音節。
(2)「ウ」の次がw・mのとき
第3則 句中に次の音韻条件があるとき
(1)ヤ行音の前にiまたはeの音節があるとき
(2)ワ行音の前にu・oで終わる音節があるとき
* 佐竹氏
第4則 同一行の音節が連続して現れるばあい
* 木下氏
第5則 句中に推量や意思を表す助動詞「ム」があるとき
第6則 句頭に母音音節「ア」「オ」があり、とくにnmの子音が続くとき
* 木下氏

この論文で、佐藤氏が再吟味して出した結論、
半母音は独立した音節を作る傾向があるという結論は、同意できると思っている。

上記法則が、万葉集全体について、妥当かどうかを検証してみる予定である。

「万葉集字余りの研究」山口佳紀著の感想

「万葉集字余りの研究」 山口佳紀 著を 借用して読んでみました。

氏は万葉集の「説明できない字余り句」を、万葉集の唱詠法の区切りで解決しようとしている。

一応、仮定を立てて、その法則に従い、

説明できない字余り句の訓読を見直しているが、
それは一つの方法であろうが、その仮説が間違っていたら、
訓読みの見直しで、データを改ざんしてしまう虞がある。

大量の句を検討して、短歌・長歌・旋頭歌に分け、短歌は偶数句と奇数句
母音を含まない句などに分けて、きちんと検討しているのは、敬意に値する。

最初の段階で、
字余りは「句中に単独母音のある句でおこる」と言う点の、
「え」の扱いに異論がある。

氏は、「え」も母音の中に含めているが、「え」は母音から、はずすべきだと思う。
この辺のことは、データをきちんと整理して、提示したい。

また、単独母音を含まない句については、
「字余りは起こさない」というのが大原則だが
(この部分もデータをきちんと整理して後日明らかにしたい)

訓読の読み方によって生ずる字余り句を、字余り句と認定しているのではないかという危惧がある。

万葉集の区分け完成

頭と手が痛くなるほど集中してきた、万葉集の区分け作業ですが、
一応完成しました。

完成したので、いろいろと集計を始めてみました。
未だデータの誤りの訂正等があるので、正確な数字ではありませんが、
おおよその値をベータ版で公開しています。

こちらのサイトに、まとめています。

万葉集の区分けによる統計資料ベータ版(全体)



字余り関係のデータはこちら

2011/09/25

万葉集のデータベースを作成中

古代日本語の資料とするため、万葉集をデータベース化しています。

元資料は、
バージニア大学のWeb上の資料より。
http://etext.lib.virginia.edu/japanese/manyoshu/AnoMany.html

1,原文をデータベースに一首ごと入力。これは完了
2011年4月より開始。
2,句ごとに分割中。現在は1巻、2巻、14巻が完成。

3,次に、音節ごと、文字ごとに分けていく予定だが、膨大な作業である。何年もかかりそう。